2011年1月7日金曜日

カナダグース EXPEDITION PARKA


エクスペディション・パーカー

大人の服って、正直色々ハードルが高い。解ってる感があり、品がよくってなおかつ少し遊びゴコロもみせないと、小僧と一線を画す“装い”にはならない。そういう意味で大人の服って、俗にいう“良いもの”でなくてはならないのだ。でも実はここに陥りやすいトラップが有る。それは、“良いもの”=本物とは必ずしも言えないということ。例えば、3、4年前から流行っているM65フィールドジャケット。ミリタリー系カジュアル大人服の代表選手だから、アンテナがそれほど高くない人のワードローブにも収まっているこのジャケット、もともとはガチの軍服だ。でも、アメリカ軍払い下げの“キング・オブ・本物”を買い、身幅や袖幅をいじり倒して、気づけば3800円のジャケットのお直し代が20000円超え。しかもそこまでやってもノーブル感はゼロ。これには本気で凹んだが、考えてみれば当たり前。機能性とコスト重視で作られた軍服に、ワイルド感以外を望んだのが間違いなのだ。戦場でお洒落感を重視するなんてロバート・キャパ(1913〜1954  アメリカの写真家。従軍取材の際に、有名メゾンに別注した軍服を着用していたという逸話が有る)ぐらいのものだ。ノーブルなM65が欲しいならASPESIにいった方が断然話は早い。

しかし、しかしだ。極地用耐寒服として南極探検隊やエヴェレスト登山隊、カナダ・ナショナル山岳レスキューチームやアメリカ森林警備隊の公式採用備品になっているという本物中の本物なのに、日本のアパレル代理店からのオファーにもバッチリ応え、ファッション偏差値の高い別注モデルを数多く発信しているという奇跡のブランドがある。それがこのカナダグースだ。キ○タクがカ○プヌードルのCMで着ていた赤いダウンもここの製品。(※着用はスノーマントラという極地用モデルで、両脇腹に繰り返し使用可能なカイロまでついている!)ただ、街着としての使用を考えるなら、今回紹介するEXPEDITION PARKA(エクスペディションパーカー)がイチオシだ。どちらかと言えばダウンはサイジングが難しいアウターだが、そこさえクリアして(ジャストサイズより少しタイトめを選ぶと今期っぽいだろう)しまえば、あとはインナーをボタンダウンシャツとスメドレーのセーター、もしくはタートルとインコテックスあたりにするだけで、今流行りの知的熟女キラー、山○さん的ダンディなジャーナリストコーデが完成する。しかもこのブランドならではの使い勝手重視のポケットや、極地装備の矜持を静かに主張するワッペンなどのディティールが、俗にいうユニフォーム効果(婦女子にはなぜか制服がブッ刺さるというアレ)まで演出してしまう。ノーブルで知的なインナーを、ハードで高機能なアウターで覆う。これって実はすごく本質的にハードボイルドなコーディネートなんじゃないだろうか。もちろん、それが可能なのはインナーの上質さとシンクロする、服作りの確かな技術があればこそだ。

ホッキョクグマ(ポーラベア)の研究保護支援のチャリティモデルを始め、ワッペンをシックなトーンに変更したモデルや、中にはダウンベストのアルバータのように完全に日本企画のモデルも存在するなど、バラエティに富んだラインナップも魅力的なカナダグースをワードローブに加えて、リアルコヨーテファーを寒風になびかせながらボソッと「南極ってね」とかのたまえば、単なるホラ話が「優しい嘘」に格上げされるかも?!

0 件のコメント:

コメントを投稿